※本稿は、土井美和『「自分」というブランドを売る 元ルイ・ヴィトントップ販売員が大切にしてきたこと』(大和出版)の一部を再編集したものです。
あなたはいつもルイ・ヴィトンの看板を背負っている
今でも忘れられない入社当時のエピソードがあります。それは、仕事にも、先輩とのコミュニケーションにも少し慣れてきた頃のことでした。
「今朝寝坊しちゃって、さっき駅に着いてコンビニでおにぎりを買って、歩きながらお店まで来ましたー」
先輩が笑ってくれるのではないかと、少しおちゃらけた感じで話したんです。
すると先輩が、「え? 歩きながら食べてきたってこと? お客様がいつどこで土井さんを見ているかわからないのよ? いつもルイ・ヴィトンの看板を背負っていることを忘れちゃダメだよ?」と割とちゃんとしたトーンで言われ、それまで笑っていた私も、周りの同期も気まずい空気になったことを覚えています。
25年近くも前のエピソードを鮮明に覚えてるのって、やはりとても自分にとって胸に刺さり、影響を受けた言葉だったのだと思います。
いつどこにお客様がいるかわからない
たとえば、制服を着て百貨店の従業員用のエレベーターに乗ったり、ランチ後に従業員用の化粧室で、歯磨きや化粧直しをしている時に、同じ百貨店でお勤めの方々と一緒になることがあります。
百貨店の裏側であっても制服を着ている以上、私たちがルイ・ヴィトンのスタッフであるというのは一目瞭然です。
そして、同じ百貨店で働く皆様は、すでにルイ・ヴィトンのお客様だったり、今後のお客様になるかもしれない方々です。
たとえ裏側であっても、振る舞いや言葉には十分気をつけなければならないと学びました。
休日に友人とカフェで話をする時も、社名がわかるような表現や話はしないようにいつも注意を払っていました。
制服を着ていなくても、店頭に立っていなくても、私はルイ・ヴィトンの看板を背負っているのだ、と先輩の言葉でしっかりと意識したのだと思います。
確かに退勤した後に、先ほど接客したお客様を電車やお店でお見かけしたり、これはとんでもなく偶然でしたが、夏休みに沖縄のホテルでお客様ご家族とお会いしたこともありました。
私は私であって、「ルイ・ヴィトンの私」でもあるという意識は、頭の片隅に常になくてはいけないのだと先輩が教えてくれました。
入社時研修で、「学生と社会人との違い」としてきっと教えられているはずなのに、本当の意味では理解ができていなかったのだと思います。

