女優 国生さゆり

1966年12月22日生まれ、鹿児島県出身。高校在学中に、フジTV「オールナイトフジ」美少女コンテストに応募して優勝。それを機に18歳のとき、おニャン子クラブ会員番号8番でデビュー。翌年には「バレンタイン・キッス」でソロデビュー、一世を風靡した。現在は女優業を中心に、ドラマ、バラエティーなど多岐にわたって活躍中。来秋公開の映画の撮影もあり、多忙な日々を送っている。関西テレビ「ハピくるっ!」金曜レギュラー。アメーバブログにてオフィシャルブログも公開中。


 

18歳で上京するまで、陸上の短距離選手として実業団のアスリートを目指していました。太ると走れなくなるから、甘いものはほとんど食べたことがなかった。その後、間をおかずに「おニャン子クラブ」でデビューです。

当時は、コンプレックスの塊でした。いきなり東京に来て、メークも服もいけてない。しかも、踊った経験も全然ないのに、いきなり歌いながらステップ踏むことになって。それであんなに力を込めて歌ってたんですよ、「バ・レン・タイン・デー・キッス!」って。

そのまま24年間、がむしゃらに頑張ってきた。陸上で0.1秒縮めるために毎日練習していたでしょ。タイムが縮まらないのは、自分の努力が足りないからだと思っていたので、芸能界に入ってからも、思うようにできないのは、全部自分のせいだって思い込んでいました。だから、ご飯のことなんてまったく考える余裕もなかったんです。

そんな殻を打ち砕いてくれたのが、去年結婚した主人なんです。最初はまさか結婚するとは思わなかった。初めて会った食事の席で「野菜しか食べません」と言ったのにあれこれ頼んで「おいしいですよ、食べましょう」と取り分けてくれて。私は口をつけなかったのだけど、あきらめもせず、最後まで「食べないとだめですよ!」って。

初対面でそんなことを言ってくれる方は初めてだったのでびっくりしました。そんなこんなで帰りに助手席のドアを開けてくれたとき、突然、雪が降ってきた。……恋って、1日でできるものなんですね(笑)。

結婚してからも、野菜中心なのは変わっていないけれど、彼がオーダーしてくれるので、少しずつ食べることに興味が湧いてきて。一食一食を大事にするようになりました。

「牛牛」は、主人がオーナーなんです。器から盛りつけまで、遊び心満載。創作シンガポール料理が食べられる「1967」も、目立たない入り口からしてサプライズ感いっぱい。どちらのお店も、おとなが童心に戻れるのが魅力。人と人の間の垣根を自然に取り払ってくれるから、ビジネスご飯のときも、会話のとっかかりにもなるんじゃないかな。

私が「ビジネス」って言うと、不思議かもしれないけど、主人の影響で、仕事への認識も変わりました。演者は考えちゃいけないと言われたことがあって、これまでは要求されることだけを一生懸命やればいいんだ、と思っていましたが、彼に言われたんです。「自分のプロデュース能力を高めないと、いくら頑張っても空回りするだけだ」って。自分自身で考えなくちゃいけないから大変だけど、人生が面白くなりました。昔の自分より、今の自分のほうが断然好きです。