重要なのは、グループとしての収益の最大化、つまり全体最適だ。チームワークこそが、その全体最適を支える。いま、グループ企業は480社を超え、働く人は約6万4000人になった。SMBC日興証券やクレジットカードのセディナなど、新たに加わった会社も少なくない。それだけ、チームワークの成果を発揮する機会は増えている。そうした力の結集の目標として「総合金融グループ」という姿を掲げた。

「十指有長短」(十指、長短有り)――10本の指は、どれも長さが違うし、役立ち方も違うとの意味で、中国・清の時代の著『通俗篇』にある言葉だ。それぞれの個性を生かすことの大切さを説くだけではなく、1本ではできないことも、何本かが一緒になれば、様々なことが可能となることを示唆してもいる。チームワークの意義を重視する宮田流は、この教えと重なる。

刻々と変化する金利や外為などの市場を、部長として担当して以来、部下たちに「情報が飛び交う交差点の真ん中にいなさい」と言い続けている。鉄火場のような市場取引に集中しろ、との意味ではない。原油価格なら石油会社、穀物価格なら総合商社、環境分野なら素材や電機、自動車のメーカーといった具合に、その世界の情報が大量かつ高速に流れる世界にいる人々のそばへいき、そうした情報に接することを求めている。流れの端にいては、いきのよい情報は入らないからだ。

医療や介護、農業など、従来なら銀行には無縁と思われる分野も、いまや成長の糧となってきた。その分野の情報の集積があると、みんなに思ってもらえれば、自然、もっと情報が通るようになる。そういう仕組みをつくり、チームとしての力を増すことが、課題だと思っている。

(聞き手=街風隆雄 撮影=門間新弥)
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