上位1%よりさらに少数のトップセールスパーソンは、マナー本に書かれているような一般的なマナーを超えたレベルの立ち振る舞いを実践しています。そうした超一流の営業パーソンは、事前の完璧な準備によって、想定されるさまざまな事項をクリアにし、すべての興味関心をその場に同席しているお客様に向けているのです。

一流の営業はマナーを守る、超一流の営業はマナーを超える

一流の営業パーソンは、当然、マナーも完璧です。トップブランドのトップセールスの方や、営業力の高さで有名な就職エージェントのトップセールスの方にお会いする機会があるのですが、そういった方々は皆、たとえば会議や会食時の席次や、エレベーター内での立ち位置など、よくあるマナー本に書かれているようなことはすべて完璧に実行しています。あらゆる段取りが完璧であることに加えて、会話のなかでも空気を読んで、必要以上に自己主張をしなかったり、時には求められている発言をするなど、相手に不快な思いをさせることが一切ありません。

全営業パーソンの上位1%よりさらに少ない超一流の営業パーソンは、マナーを「超える」振る舞いをしています。マナーを超えるというのは、マナー違反をするという意味ではありません。マナーを理解したうえで、あえて相手の意表をついた発言や行動を取るのです。たとえば、相手が言うことに対して、ただただ「そうですね」と同意し続けるのではなく、「いや、でもこうじゃないですか」「こういうほうが面白くないですか?」とわざと相手の言葉に反することを伝えることで、「たしかにそうかも!」と場を盛り上げるのです。

(構成=久保田正志 図版作成=大橋昭一)