エリザベス女王の戴冠式より地味、しかし予算は莫大

エリザベス女王の戴冠式は、157万ポンド(現在の価値で約73億円)かかった。今回の式は、従来通り宗教儀式としての威厳を保ちつつ、前回よりも列席者を少なく、式の時間を短く、国王の衣装の着替えの回数を減らすなどと、時代に合わせてつつましくなるように計画されている(それでも100億円以上の予算がかかる、と現地では報じられている)。

先述の通り、国内の深刻な物価高やリセッション(景気減退)ゆえ、コンサートにビッグスターばかりそろい莫大な出演料が計上されては、国民の反感を買うかもしれない。だからかえって良かったのか……。

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それにしてもエリザベス女王崩御時には、それまでの不人気ぶりとは裏腹に多くの国民から期待を持って迎えられたチャールズ国王の現在の状況は、なんともうら寂しい。改めて彼は国王としてふさわしいのか、考察してみたい。

元妻に「国王の資質などない!」と痛罵された

ヒストリーチャンネルで放送された『暴かれた英国王室の秘密』によると、国王の元妻の故ダイアナ妃は「チャールズには国王の資質などない」と言い放ったという。チャールズ国王は誕生した時から将来の王位継承者であり、帝王学をきっちり教育されたはずだが、資質がないとはなぜか。

まずは、彼の率直な物言いが考えられる。

“君臨すれども統治せず”の君主として、エリザベス女王は人前で自分の意見を述べず、感情の揺れを表すことがなかった。

それに比べ皇太子時代のチャールズは、環境問題、ホメオパシー(代替医療)、慈善事業などで自分のプレゼンスをアピールし、その発言が度々物議をかもした。国王の父の故フィリップ王配は、人種差別発言も含む数々の舌禍事件を起こしてきたが、その血を受け継いでしまったか。

「でも『国王になれば私的な意見は控える』とBBCのインタビューに答えていました。己の個性を消して慎重になるという点では、エリザベス女王の路線を踏襲するのでしょう。先日、即位後初の外国公式訪問で訪れたドイツの連邦議会で演説をしましたが、出過ぎず引き過ぎず、そつなくこなして一定の評価を得ています」

とは、英国在住歴30年、イギリス全土とロンドンの公式ガイドを務める塩田まみさん。

長年女王の背中を見ており、さらには年の功で「こういう言動や行動は良くない」という判断ができ、処世術もついてきている。ダイアナ元妃と暮らしていた時よりも王としての風格は備わってきたと言ってもいい。