女神と人間のあいだを取り持つ「インドの巫女」
南インドの複数のヒンドゥー教寺院に、「デーヴァダーシー」と呼ばれる習慣が残る。選ばれた少女たちが寺院に召され、奉仕のための修練に励む制度だ。神霊に仕え舞を奉納することから、インドの巫女とも呼ばれる。
デーヴァダーシーの少女たちは、女神に嫁いだ身分とみなされる。かつては女神と人間のあいだを取り持つ存在として誰しもから敬われ、寺院での豊かな生活を保障されていた。ところがいまでは、宗教儀礼の名を借りた性奴隷として、耐えがたい日々を生きている。
少女たちはなかば公然と競売にかけられ、
インド政府は1980年後半からデーヴァダーシーを違法化したが
処女を競売にかけられた…16歳少女が英紙に語った壮絶な夜
インド南部、カルナータカ州の高台に、イエラマ・デヴィ寺院が静かに佇む。豊穣の女神・イエラマを祭る小さな村の寺院だが、毎年1月の祝祭になると実に50万人ほどの信徒たちが押し寄せる聖地だ。
寺院周辺で信徒を迎える中年の女性たちや、祭りを訪れた若い女性の一部の首に、紅白のビーズが並んだネックレスが光る。デーヴァダーシーの証しだ。
そのひとり、現在16歳のルーパさんは、英ガーディアン紙に対し壮絶な経験を打ち明けている。女神イエラマの加護を受けるのだと母親に告げられ、9歳でデーヴァダーシーに出されたという。
「初めての夜は大変でした」と彼女は語る。寺の位置する村で処女を競売にかけられ、裕福な男性に買われた。だが、夜を共にするはずだった男は、彼女の陰部をカミソリで切り裂いたという。
AFP通信は、同じくデーヴァダーシーとして半生を生きたビマッパさんの例を挙げている。親に金銭で売られたあとは、結婚を諦め、年上男性に処女を捧げた。
「私の場合、母の兄でした」とビマッパさんは辛い体験を振り返る。