財産を相続したときには「相続税」に気をつけたほうがいい。税理士の大田貴広さんは「税理士に相談する人が多いだろうが、じつは相続税の税務調査の勘所を理解している税理士は少ない。実際、税務調査に選ばれたら、87%の人には追徴課税が発生している」という――。

※本稿は、大田貴広『相続のお金の残し方「裏」教科書 専門税理士が限界ギリギリまで教える“99%節税できて100%モメない”方法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

相続税の申告書
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相続税を支払った5人に1人が税務調査の対象に

日本全国でどれくらいの方に相続税がかかるかご存じですか。答えは100人中8人です。実は相続税は日本の富裕層上位8%にしかかからない税金なのです。

このように相続税は他の所得税や法人税などに比べると課税対象者が少ない税金です。ですが、逆に言えばその分、税務調査に選ばれる確率が高くなるのです。

相続税の税務調査は、簡易な接触を含めると約5人に1人の方が選ばれます。また一度調査に選ばれると、約87%の確率で追徴課税されます。「なるほど相続税申告は税理士に依頼しない人が多いのか」と思われたかもしれませんが、実は全体の約9割の納税者が税理士に依頼して相続税申告をしています。

ではなぜ、税金のプロである税理士が作成しているにもかかわらず、ここまで追徴課税が多いのでしょうか。その理由は、税理士のほとんどは相続税に不慣れなためです。