「うちは財産が少ないから大丈夫」ではない理由
「うちみたいに財産が少ないところには、税務調査はこない」と油断していると危険です。富裕層に優先して調査が入る事実はありますが、財産が少なくても次の三つの特徴を持つ家庭には調査が入りますのでご注意ください。
(1)家族が持っている財産が多い
配偶者や子供や孫など、故人以外の家族が多くの財産を持っている場合、調査に選ばれる可能性が高いと言えます。その家族の財産の中に故人のものが含まれている場合があるからです。
なかでも専業主婦は疑われます。なぜなら、お金に色が付いていないため、夫婦のお金のやり取りの中で配偶者に財産が移ってしまうことが多いからです。
専業主婦は、基本的に収入がありません。それなのに、5000万円や1億円といった財産を持っている場合、税務署は夫の財産を預かっているのではないかと判断するわけです。夫の退職金を妻の口座で運用している、夫が妻の証券口座を使って株式などを運用している場合などは特に危ないので、今のうちからそれらの金融資産は夫の口座へ戻すなどの対策を講じておく必要があるでしょう。
また収入に見合わない財産を持っている家族もよく調べられます。例えば30歳で1億円を持っている孫がいたとします。一般的に30歳で1億円を貯められる人は限られていますので、税務署は故人からの財産が移っていないかを疑うのです。
ここで故人からの贈与について贈与税の申告書が提出されていて、金額の辻褄が合えば問題ありませんが、計算が合わない場合は調査でヒアリングをされることになります。調査では、生前贈与がきちんとなされているのかを徹底的にチェックされることになるのです。
これらの家族名義の口座に入っている故人の財産は、名義預金と言って税務調査で最も問題となります。
(2)相続税の税率が高い
相続税の税率が高いと、税務調査に選ばれる確率が上がります。調査官からすると税率が高い家庭を選ぶほうが、費用対効果が良いからです。遺産が2億円で相続人が2人いる場合の税率と、遺産が1億円で相続人が1人しかいない場合の税率は、どちらも30%で実は変わりません。よって財産が少なくても相続人が少ないと調査に選ばれやすくなります。