住宅ローンを無理なく返済するにはどうすればいいか。公認会計士の千日太郎さんは「いちばん安全な考え方は、収入に変動があっても返済は一定にすることと、最も収入の少ない月に合わせて住宅ローンの返済額を決めることだ」という――。

※本稿は、千日太郎『不動産屋が絶対に教えてくれない「最高の家」の買い方』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

散らばった一万円札の上に置かれた家の形の木製フィギュア
写真=iStock.com/masamasa3
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広告に書かれているのは「オトリ価格」

「今の自分の収入で、いったい自分はどれくらいの価格の家が買えるのか」ということが気になるとは思いますが、実は単純に年収だけでは判断がつかないのです。これから、無理なく完済できる住宅ローンの4つのルールをご紹介します。

このルールを知ることで、「人生のプロジェクト」として自分が将来も見越して払うことのできるだいたいの金額を計算することができるようになります。

ルールは次の4つになります。

ルール1 毎月の返済は「手取り月収の4割以下でボーナス払いなし」
ルール2 返済額が一定になる「元利均等返済方式」
ルール3 シミュレーションの金利は「固定金利」
ルール4 定年時のローン残高は「1000万円以下」

前述したように、不動産会社のチラシやネット広告で書かれている家の価格は、お客を来店させるまでの「オトリ」です。本来はこうした「オトリ」に書かれている価格以上に費用がかかります。それを踏まえて、これら4つのルールを知ったうえでシミュレーションすれば、家の本当の価格がわかり、自分の買える家の価格もわかってくるのです。

ひとつずつ詳しく説明していきます。

「返済負担率」は35~45%以内に

住宅ローンを無理なく返済していくには、自分に適した「返済負担率」を認識することが大切です。住宅ローンの「返済負担率」とは、税込み収入に占める1年間の返済総額の割合のことです。これは「返済負担率=1年間の返済総額÷額面年収×100」という計算式で求めることができます。

民間金融機関で住宅ローンの審査を受ける場合、この計算式によって導き出された返済負担率の上限はだいたい35〜45%以内が多くなっています。ただし、この数値はあくまで上限だということを覚えておいてください。

年収の高い人なら返済負担率が高くても返済することができますが、平均的な年収の人が45%もの返済負担率の住宅ローンを組むことはかなり危険です。