住宅は持ち家と賃貸、どちらを選んだほうがいいのか。公認会計士の千日太郎さんは「2つの違いは、自分が所有している家か、他人が所有している家か、というだけ。貸借対照表で考えると、その人なりの結論は簡単に導き出せる」という――。

※本稿は、千日太郎『不動産屋が絶対に教えてくれない「最高の家」の買い方』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

ミニチュアの家の模型をルーペで見る人の手
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賃借対照表で考える「賃貸・持ち家」問題

物件に関して、「賃貸が得か? 持ち家が得か?」という話題は尽きません。さまざまな有識者がさまざまな観点から、どちらのほうがいいと言っている雑誌やウェブの記事を見かけますが、私の本音としては、実は「損か得かなんて、どちらでもいい」と思ってます。大切なところにフォーカスすれば、「賃貸か、持ち家か」は、それほど重要なことではありません。

賃貸住宅に住むことは「他人が所有する家に自分と家族が住むこと」であり、持ち家に住むことは「自分が所有する家に自分と家族が住むこと」です。どちらが得か問題は「貸借対照表」(画像1)で考えると明白になります。「貸借対照表」はバランスシートとも呼ばれ、企業の財務状態を明らかにするために、資産・負債・純資産の状況を表した決算書のひとつのことです。

左側の「資産」は財産のことで、所有している現金、預金、不動産がこれに当たります。右上の「負債」は借金のことで、住宅ローンなどがこれに当たります。右下の「純資産」は「資産」から「負債」を引いた差額になります。

「純資産」が厚いと安心ですが、逆にマイナスになった場合は「債務超過」と言われる状態になり、企業であれば倒産をしてしまいます。個人になると、融資を受けることができなくなったり、債務整理をして、最悪の場合は自己破産が必要になる可能性も出てきます。