マイホーム契約にはどんな落とし穴があるのか。住宅コンサルタントの寺岡孝さんは「ネット上では、『注文住宅を解約した場合、契約金額の1割ぐらいが違約金としてかかる』などという情報があるが、これはまちがいだ。不当に多額の経費を請求してくる住宅メーカーもいるので、正しい知識を持ってほしい」という――。
家の模型を持つ不動産会社の男性
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「ネットの情報」を鵜呑みにしてはいけない

住宅購入は一生に一度の大きな買い物と言われています。中でも一戸建てに住みたいという希望は強く、建売住宅ではなく、間取りや設備を自由に選択できる注文住宅を建てたいという人が多いものです。

注文住宅で理想のマイホームをと思いきや、大きなトラブルになるケースも散見されます。特に多いのが解約をめぐるトラブルです。工事が完成するまでの間、注文者はいつでも解約できる立ち位置にいますが、解約までに要した実費費用を負担することが条件となります。この解約に関してインターネットで検索すると誤った情報が掲載されていたり、素人の顧客に対して明らかに不当な金額を請求する担当者もいたりするので、注意が必要です。

今回は、私がサポートを担当した事例を紹介しながら、注文住宅の“思わぬ落とし穴”について解説します。

優秀な営業担当者かどうかは運次第

注文住宅を建てる際には住宅メーカーや工務店に相談をするわけですが、個々の顧客に営業担当者が専属でついて間取りや見積もり、住宅ローンの手続きまで併走することになります。

そのため、いかに優秀な営業担当者に出会えるかが、理想の住まいづくりに近づく第一歩なのですが、現実は優秀な営業担当者に出会える可能性は低く、いわゆる「営業ガチャ」に左右されてしまうのです。

近年の建築価格高騰により、大手の住宅メーカーに依頼すると、延床面積にもよりますが請負契約金額が5000万円を上回る場合が多く、担当営業の対応が悪いと金額的には割に合わない現実が待っています。

特に、注文住宅を受注する営業担当者は、間取りや各仕様などの建築に関する知識、契約ごとや登記、将来の相続などの法律に関する知識、そして住宅ローンや保険、税金などのファイナンスの知識を兼ね備えていないといけないものです。

しかし、現状ではトータルの専門知識を豊富に持つ営業担当者は減っています。例えば、契約までの間の商談は担当Aさん、契約後の詳細打ち合わせの担当はBさんというような流れになっている場合が多く、質問をしても答えが返ってくるまでに相当な時間がかかり、下手すると何の返答もないという事例もあります。