住宅メーカーは解約金240万円を請求
ここからは私が注文住宅の解約をサポートしたAさんの事例をお話しましょう。
Aさんは大阪に本社がある住宅メーカーと2023年7月末付けで工事請負契約を結び、仮契約金1万円、手付金と称して100万円を支払いました。
しかし、担当者の杜撰な対応に不信感を抱き、同年11月に直接解約を申し出ました。担当者も非を認めていたのですんなり解約できるのかと思っていましたが、約款に記載された請負金額およそ2400万円の10%に当たる240万円を請求されました。
たしかに今回の事案では、契約書の約款に「解約の場合には違約金として請負代金の1割を支払う」旨の文言がありました。しかし、工事請負契約では、解約までに要した実費費用を負担すると法律で定められているので、この約款の文言には問題があり、効力はないと言えます。
「なぜこちら側がさらに請求されなければならないのか」と担当者へ返信したところ、翌12月に今度は担当者の上司から「信頼回復のため本契約の履行を続けたい」と回答がありました。話がかみ合わない上に、信頼回復のための具体的な案の記載がないため、再度、請求理由を求めました。
年が明けても返信は来ず、2024年1月初めに本社宛にメールを送り、ようやく社長が対応してくれることになりました。事情を話すと「契約時に入金した101万円の放棄で契約を白紙撤回する」とのことです。
内容が分からない、支離滅裂な経費内訳
しかし、このメーカーと本契約を結ぶ前に仮測量を1回行い、本契約を結んでから打合せ2回、図面を1枚描いてもらっただけです。消費者契約法第9条1項の平均的損害額を超えているのではないかと問い合わせると、経費内訳のデータが社長から送られてきました。
現地調査費 50,000円
役所調査費 20,000円
プラン作成費(建築家の先生含む) 300,000円
移動費 30,000円
銀行事前審査代理費 100,000円
打合せ図面製作費 250,000円
確認申請費 500,000円
地盤調査 100,000円
合計 1,420,000円
行っていない確認申請費50万円、詳細の分からないプラン作成費30万円(建築家の先生とは誰なのか……)、誰がどこまで移動したか分からない移動費3万円など、金額も莫大で支離滅裂です。
私としては仮測量、打合せ2回、図面1回の料金以外は払うつもりはないと考えましたが社長がこのような態度なので、埒が明きません。