「営業ガチャ」に失敗し、別の会社に変更

まずはこんな事例を紹介しましょう。

各住宅メーカーの良し悪しもよくわからないのでサポートしてほしいというご夫婦のFさんが相談に来ました。数社の話を聞いて最終的に2社に絞り込みをしました。2社とも誰もが知る有名住宅メーカーですが、A社のほうが設計やインテリアのセンスが上でした。

しかし、このA社の営業担当者はご夫婦の意見や希望に対して否定的で、自分が勧めるものを押し付けるという、常に上から目線の商談でした。設計変更や新たな提案をお願いしても「弊社とご契約いただけますか?」という発言が頻繫に出て、結局は設計変更を受けないなど、対応の悪さが目立ったのです。

Fさん夫婦は、営業担当者の変更も検討した上で、結果的にもう1社のB社にお願いすることにしました。B社の営業担当者はご夫婦の話を良く聞いてくれて、ご夫婦にとって話しやすい人でした。私もA社・B社との商談には必ず同席していましたが、請負契約金額が1億円を超える住まいをお願いするには、A社はふさわしくないという印象でした。

昨今では、「優秀な住宅メーカーの営業マンを紹介する」というようなビジネス広告も見かけますが、本当に優秀かどうかは何とも言えません。例えば、「優秀な営業マンです!」と紹介されても、顧客にとってはそうでない場合もあります。最終的には、相性の良い人が、その顧客にとって「優秀な営業担当者」となるのでしょう。

「解約すると違約金がかかる」?

この事例は住宅メーカーと請負契約をしていなかったのですが、請負契約を締結した後に金銭のトラブルになるケースも多いものです。

今年4月初めにこんな相談がありました。

「住宅メーカーで注文住宅の契約をしましたが、解約をしたいと担当者に言ったら違約金がかかるので解約はやめたほうがいいと言われました。違約金は払わないといけないのでしょうか?

インターネットでも調べたのですが、違約金は契約金額の1割程度はかかるとかあって不安です」

相談者によれば、「注文住宅の契約解約にかかる違約金は、契約金額に対して約1割が目安で、契約金額が4000万円ならば違約金は400万円です」とあり、しかも「宅建業法で違約金と損害金の合計は契約金額の2割までと決められていますが、その金額よりも安価ですから安心です」という記述があったとのこと。

たしかに、そのように解説するウェブ記事もあるのですが、これは不正確です。