なぜ交通取り締まりのデマが出回るのか

「駐車違反の取り締まりを逃れる裏ワザはないのか」

これは、ドライバーなら一度は考えたことのある疑問ではないだろうか。

しかし、よくいわれる裏ワザは、だいたいがデマだろうと私は見る。オービスに撮影されて呼び出しを受け「捜査には協力しない」とか宣言すればチャラになるという話も、デマだ。真に受けて実行し、逮捕され報道された人もいる。

駐車違反のステッカーを貼られた車
写真=iStock.com/Rich Legg
※写真はイメージです

なぜそんなデマが出回るのか。交通違反・取り締まりにもう40年以上熱中してきた私はこう考える。

交通取り締まりは年間547万6654件(2023年、警察庁)にも上る。かつては1千万件を軽く超えていた。いろんな警察官がいて、いろんな事情があったりする。当然、想定外のことも起こる。

たとえば、ノルマ(努力目標)にしたがって次々に違反切符を切ったのだけれど、上司のパワハラでうつ病ぎみになって、あとの処理を放り出してしまうとか。交通関係の大事な書類を机の奥に眠らせた、廃棄した、そんな報道もたまにある。報道にまで至ったケースの背後には、報道に至らないケースが多数あるはずだ。

駐車違反がチャラになる裏ワザは存在する

某県警でオービス担当になった警察官は、倉庫の「缶カン」の中に、オービスの未処理の書類や、違反者の氏名が書かれた赤切符が、多数放り込まれているのを見て驚いたという。後任は音楽隊の警察官で、月の半分ぐらいは演奏活動に出ていたという。

また、国産の固定式オービスは、午前3時とか予めセットされた時刻に自動的に「定時点検」を行う。違反車両の有無に関係なく赤いストロボを光らせる。そのときたまたまストロボを浴びても、呼び出し状は来ない。取り締まりのための発光じゃないからだ。

1、そんな想定外のことで違反がチャラになったとは、違反者は露知らぬ
2、「はは~、俺があのときああしたからチャラになったんだ」と思い込む違反者もいる
3、「あれをやればチャラだ」とネットの匿名掲示板に思い込みを書く
4、裏ワザでチャラになりたい違反者が多く、デマが広がる

そういうことかなと私は見る。

しかし! 駐車違反だけは違う。駐車違反については、「取り締まりを受けても、これをやれば違反点数はセーフ。ゴールド免許のままでいられる」ということがある。すでにご存じの方もおいでだろうが、無知なためにゴールド免許を失う人もいる。どういうことか、ご説明しよう。