何度も挫折を繰り返して金も地位も失い、気がつけば人生のピークを過ぎたと言われそうな年齢に。だが、そこで諦めるかどうかで、人生は大きく変わる。「遅咲き経営者」として大成功を収めたケンタッキー・フライド・チキン、日清食品、フォード・モーター、ウォルマートの創業者に共通する成功法則とは――。

※本稿は、桑原晃弥『乗り越えた人の言葉』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/davidhills
※写真はイメージです

車の流れが変わってレストランが潰れた

すでに自分の時代は終わってしまったのか。(中略)しかし、まだ自分にできることが残っているのではないか。(中略)どんな状況に置かれようと自分からあきらめることはしない。
(藤本隆一『カーネル・サンダース』文芸社文庫)

今でこそ60歳を過ぎても働く人は大勢いますが、今から70年近く前の1950年代に60歳を過ぎて人生の再出発をするのは決して容易なことではありませんでした。

ケンタッキーフライドチキン(KFC)の創業者カーネル・サンダース(本名ハーランド・デーヴィッド・サンダース)も、もし自らが経営する国道沿いのレストラン「サンダース・カフェ」から離れた場所に高速道路さえできなかったら、60歳を過ぎてKFCを創業しようなどと考えることはありませんでした。

1930年にオープンしたサンダース・カフェは142席の人気レストランでしたが、高速道路ができて車が国道を通らなくなるとひとたまりもありませんでした。売り上げは大幅に減り、最終的には売却するほかはありませんでした。税金と未払い金を払うと、サンダースの手元にはほとんどお金が残りませんでした。

「なにか自分にできることを見つけよう」

65歳ですべてを失ったサンダースは年金をもらいながら余生を送ることも考えますが、もらえるのは月に105ドルだけです。40もの仕事を経験し、挫折を味わったサンダースは「何か自分にできることを見つけて生涯働き続ける」と決意します。

見つけたのはレストランで最も人気のあった「フライドチキン」のつくり方(7つの島からとれた11種類のハーブとスパイスを使い、圧力鍋でつくる)を他のレストランに売るというビジネスモデルです。