※本稿は、村上世彰『村上世彰、高校生に投資を教える。』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「皆さんは10年後、日本経済と日本株はどうなると思いますか?」
今回は投資の社会的意義、あるいは投資家の社会的な役割について少し掘り下げて考えていきたいと思います。
投資家は社会の中で重要な役割を担っています。株式投資家がきちんと役割を果たすかどうかによって、日本経済の将来が決まると言っても過言ではありません。私としては投資家の社会的役割というものを強く意識しながら投資活動をしていますし、そのような株式投資家が増えることが日本経済を復活させるカギだと思っています。
ですから、ここでは株式投資の社会的な意義、そして投資家の社会的役割についてぜひ皆さんによく理解していただきたいと思っています。
そこで、皆さんに聞きたいのですが、10年後の日本経済と日本株はどうなっていると思いますか?
今こういう質問をすると、ほとんどの人から暗い見通しが返ってきます。「景気はもっと悪くなっている」とか、「株価はもっと下がっている」というように。
政府は莫大な借金を抱え、少子高齢化が進み、年金など社会保障制度も危ぶまれ、電機や自動車など主要産業の国際競争力が衰え、ITやAIなど先端の産業でも遅れをとっているという状況ですから、日本の将来を悲観的にとらえる人が多いのも仕方ないのかもしれません。
「日本経済復活のカギは投資家です」
しかし、私は日本経済も日本株も将来的に、かなり状況が良い方向に向かうと思っています。いや、かなり良い方向に向かわせることができると思っています。
なぜかというと日本企業は海外で結構がんばっていますし、日本経済や日本株が停滞している一番の原因も分かっていて、その解決法も分かっているからです。今後その停滞原因が解消されていくにつれ、日本が抱える諸問題も解決に向かっていくだろうと思っています。
問題解決のカギは投資家が握っています。私自身、そのために全精力を注いでいきたいと思っています。できれば皆さんにも、その一翼を担っていただきたいなと思っています。
自分の投資行動が日本経済復活のために役に立ち、その結果自分自身の資産も大きく増えるとしたら、それはとてもハッピーなことではないでしょうか。私はそれが可能だと思っています。そのためにこの講義をしているとさえ言えます。私自身のこれまでの投資活動の実例を交えながら話を進めていきたいと思います。