政府の緊急事態宣言を受けてリモートワークを導入する企業が増えているが、そこで現場の足を引っ張る管理職が目立っている。法政大学ビジネススクールの高田朝子教授は「上司が『横並び主義、先送り、やったアピール』をするタイプなら、これを機に転職を考えたほうがいい」と指摘する――。
ビジネスマン指を指す
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「不要不急とは何を意味するのか」と様子見だった

新型コロナウイルスの蔓延まんえんで世の中はてんやわんやである。「ギリギリで踏みとどまっている」としていた政府からようやく緊急事態宣言が出され、不要不急の外出の自粛、リモートワークの要請が出された。それでもかなりの人がいまだに出勤し、リモートワークをしていた人も「家だと集中できないから」と外出する。住宅地の商店街は妙に人が多い。

もちろん、企業に通勤しなくてはいけない業種や、職場や立場の人が多くいる。どうしても通勤しなくてはいけない職種や立場があって、その一人一人の仕事で社会が支えられているのは自明だ。出社を責めるつもりは毛頭ない。

ここにきて浮き彫りになってきたのが、決められない大人の多さである。政府の意思決定の遅さは今に始まったことではなく、もうほとんど何も期待もしていないけれども、企業もどっちつかずの対応が当初目立った。早急に意思決定して動いた企業も多くあった一方で、大多数は「不要不急は具体的に何を意味するのか国の指示がないと決められない」と様子見だった。

挙げ句、国の出したガイドラインでは、不要不急と言いながらほとんどの買い物や活動を認めている。現行法では外出禁止の強制力を持たない。罰則規定がないから緊迫感というものが全くなかった。多くの企業が「体温を測り各自健康に留意して」などと愚にもつかぬ覚え書きを出し「できる範囲で」協力した。その結果、感染者はうなぎのぼりに増加し、危機感を持った政府はここにきて「職場への出勤者を最低7割減」の強い要請を企業に出した。