出世に行き詰まった50代はモチベーションが下がりやすい。人事コンサルタントの麻野進氏は「やる気がなくて存在感の薄い『妖精さん』に加えて、周囲と摩擦を生んで迷惑を掛ける『妖怪』もいる。こうした最下位1割は『危機感』がないと腰を上げない」と分析する――。
働かない50代はなぜ発生するのか
日本企業に勤めるサラリーマンは、60歳の定年という賞味期限が設定されています。
業種や企業規模、人員構成等による違いはあるものの、必要な経験年数と賞味期限の関係で、45歳前後で出世の決着がついてしまいます。
役員を目指せる勝ち組として残り続けるか、課長止まりか、管理職まで届かずか。人事制度として決まっているわけではありませんが、社内コンセンサスが出来上がっていくのがこの頃です。
ただ、本人がそれを自覚するのにタイムラグがあり、それが50歳という年齢です。
日本企業はいまでもある程度の年功序列運用は残っているため、50歳くらいで課長になれることもありますが、55歳の役職定年まで5年しかありません。いわば賞味期限切れが迫っているため、それ以上は望めないのが実情で、彼等を抜擢しようとする会社のモチベーションは乏しいのです。
かくして、負け組が確定したと自覚した50代はモチベーションが下がる可能性が高くなります。
これが企業業績が厳しい時期であれば雇用不安があるので、リストラされないように頑張りますが、「65歳雇用義務付け」「人手不足」「働き方改革」が注目される中、「働かなくても65歳まで安泰だ」というマインドが醸成されることになるのです。