1月27日、中居正広氏の女性トラブルをめぐる問題で、フジテレビは2度目の記者会見を開いた。歴史評論家の香原斗志さんは「会見に出席した社長らは、フジテレビ相談役の日枝氏に関する質問に対して終始逃げ腰だった。その様子は、900年以上前に白河上皇が始めた院政を想起させた」という――。
フジテレビジョン記者会見(=2025年1月27日、フジテレビ本社22F)
撮影=石塚雅人
フジテレビジョン記者会見(=2025年1月27日、フジテレビ本社22F)

フジの幹部から漂った「日枝久氏に触れたくない」空気

1月27日16時にはじまったフジテレビの会見。日付をまたいで午前2時24分まで行われ、その半分程度を視聴したが、出席を期待されながら欠席した取締役相談役(フジ・メディアHDの相談役兼務)の日枝久氏に関しては、納得のいく答えが最後まで得られなかった。

中居正広氏と女性社員とのトラブルが、港浩一社長がいったように「当事者2人のきわめてセンシティブな内容」であったなら、会見でその具体性に踏み込めないのは当然だ。それにオープンな会見であるほど、女性のプライバシーに踏み込むリスクを避けるべきである。

このために語れることがかぎられる面はあったが、背水の陣で臨んだ役員陣が、可能なかぎり答えようとしているという姿勢は伝わった。むしろ、あえてプライバシーに踏み込んで言質をとろうとする、すでに問われた質問を何度でも繰り返す、といった記者たちのマナー違反が目立つ会見でもあった。

しかし、記者からの質問でもっとも多かったのは日枝氏に関するものだったのに、それに関しては経営陣の回答は一様に逃げ腰で、タブーに触れたくないという空気を濃厚に漂わせてしまった。さすがにいただけない。

なぜ踏み込めないのか

若干踏み込んだのはフジ・メディアHDの金光修社長で、「現場に直接タッチしていない立場ですが、その影響力は大きいと思います。企業風土の礎を作っていることは間違いない」と回答。また、遠藤龍之介副会長は「その(第三者委員会の報告が出る)時期をメドに、それぞれの役員がそれぞれの責任をとるものだと考えています。これは常勤役員全員に波及するものだと思っています」と、今後は日枝氏も責任をとるであろうことを示唆した。

だが、それ以上は踏み込まないので、踏み込めない事情が種々に憶測されてしまう。

嘉納修治会長は「日常の業務というのは、私と港社長で決めておりました。したがって今日、この会見に(出席すべき)ということでございますけれども、日枝氏は相談役ですから業務執行はしない。今日、ここに出席していないのはそういうことです」と回答。その後も問われるたびに同様の回答を繰り返した。

しかし、日枝氏については、労働組合から会見に出席するようにとの強い要請があり、大株主のダルトン・インベストメンツからも、同氏が41年にわたり君臨していることを問題として指摘されていた。そうした要請があるのに、「業務執行しないから出席しない」と返答しても、まったく答えにならない。