海底にはどんな“お宝”が眠っているのか。“水中遺跡”を調査する帝京大学文化財研究所の佐々木ランディ准教授の著書『水中遺跡はそこにある』(ちくまプリマー新書)から、鹿児島・奄美大島にある倉木崎海底遺跡の事例を紹介する――。(第3回)

奄美大島の海底で見つかった「大量の陶磁器」

ダイビングに行くなら、やっぱり南国の透き通るブルーの海……といきたいところですが、湖など河川の調査もあるので、我々水中考古学者は冷たいみそ汁のような水の中を泳いで調査することが多いです。

とはいえ、きれいな海でのプロジェクトもあります。ここでは、南国の透き通る海、しかもシュノーケリングでもアクセスできる遺跡を紹介したいと思います。南西諸島、奄美大島にある倉木崎海底遺跡です。

倉木崎海底遺跡の案内ボード
筆者撮影
倉木崎海底遺跡の案内ボード

黒ウサギが有名な、マングローブの生い茂る自然豊かな島、奄美大島。沖縄ほど観光地化されておらず山がちであるため、太古の自然をそのまま感じることができる、神秘の島ともいわれます。そんな島の南西側に、宇検村という村があります。とても魅力的な場所なので、奄美に行ったらちょっと足を延ばして、ゆったりとした時間を感じて欲しいです。

この宇検村の焼内湾の入口にある枝手久島と奄美本島の間の細い水路に、倉木崎海底遺跡があります。水路の幅はおよそ300メートル、長さは1キロメートルほど。だいたい3メートルほどの深さがあり、深い場所でも6メートルぐらいでしょうか。

遺跡発見のきっかけは、30年以上も前のこと。魚釣り客が偶然に青磁の小皿を拾ったことが始まりでした。水中に遺跡があるかもしれないと話題になり、当時の島の文化財担当者が調べてみると、小皿は中国からの輸入品でした。宇検村教育委員会は、青山学院大学などの協力を得て潜水調査を実施し、海底にたくさんの陶磁器類が落ちていることを発見しました。

1997年の調査では、海底に基準点を設置してグリッドを作り、どこになにがどれほど落ちているのか、分布調査を実施しました。遺物は、広く海底面に分布しており、12‐13世紀ごろの中国の青磁や白磁など約2300点の遺物を引き揚げています。

これだけまとまった貿易品が見つかることは、陸の遺跡ではほとんどありません。