上司がやるべき3つのアセスメント

50代に限らず、60歳超え再雇用者も含め、シニア社員を組織に受け入れるのであれば、まず次の3つの項目を査定することが重要です。

一つ目は、50代以上のシニア社員の意識をアセスメントすることです。

例えば、「給与が下がっているのでモチベーションが下がるのは当然」「給与の減額分、仕事が減少するのは当然」「難しい仕事は若手がやるべき」「法律で65歳まで会社は雇用義務がある」「自分の経験にふさわしい役割がある」等々。

このようなことを直接上司に訴えることはないかもしれませんが、普段の言動やほかのメンバーの意見などからおおよそのマインドは把握できるはずです。

二つ目は、受け入れ側のメンバーがどういうマインドなのかという確認です。

例えば、「若い人は欲しいが、50代はいらない」「自分たちにとってメリットのある人に来てほしい」「現在の人員で充分だ」「年配者の成功体験など聞きたくない」等々。

こういうことも会議の席での発言はないかもしれませんが、職場の懇親会など無礼講でリラックスできる会であれば、容易に聞き出せる内容でしょう。

三つ目は、組織全体の環境についての考察です。

例えば、「過重労働または働き方改革で、みんな自分の仕事で一杯いっぱいで他人を構う余裕がない」、にもかかわらず「新たな知識やスキルの習得が必要で、他のメンバーに聞かなければ仕事が進まない状況」「これまでの専門性や経験が活かせる組織ではない」等々。

これは50代以上のシニア社員の受け入れ時だけでなく、預かった組織をマネジメントする際に、管理者が最初に把握しておきたい重要事項なのです。

シニアの妖精・妖怪への向き合い方

最も重要なことは、担当してもらう仕事にきちんと「意味づけ」をしているかということです。これは50代の妖精・妖怪に限らず、部下に業務を担当させる際の動機づけの基本です。

「自分の仕事がどのような貢献に繋がるのか」「何のためにその仕事をするのか、それが自分にとって意義があることか」。やらされ感ではない、内発的動機で業務を推進することができれば、どんな部下でもやる気がでるはずです。

若手社員であれば将来性を引き合いに出せば、どんな業務でも意味を持たせることが出来そうですが、妖精・妖怪にそのようなアプローチは可能かという疑問があるかもしれません。

ですが会社にとっても社員にとっても、幸か不幸か65歳、いや70歳までのキャリアを想定しなければならない時代になりました。それどころか人生100年時代に突入したので、80歳まで現役で稼がないと経済破綻する可能性があるのです。50代で隠居生活に入ることなどできない時代に我々は生きていると、理解させることで気づきが得られる可能性があるのです。