2024年に渋沢栄一が描かれた新しい1万円札に切り替わる。元モルガン銀行日本代表の藤巻健史氏は「日本の財政が危機的な状況のなかで、新しい1万円札の印刷はなんとも気味が悪い。預金封鎖という最悪のシナリオもあり得るからだ」という——。

※本稿は、藤巻健史『コロナショック&Xデーを生き抜くお金の守り方』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

新1万円札のイメージ。日本の資本主義発展に貢献した渋沢栄一が肖像となっている=2019年4月9日、財務省
写真=時事通信フォト
新1万円札のイメージ。日本の資本主義発展に貢献した渋沢栄一が肖像となっている=2019年4月9日、財務省

今の日本は、「ギリギリまで水が注がれたコップ」

政府が巨額の財政赤字を抱え、「異次元の量的緩和」により日銀が世界最大級のメタボに膨れ上がった今の日本。私はこの状況をについて、「このままではいずれハイパーインフレが起きてしまう」と何度も警鐘を発してきました。

今の日本は、いわば大きなコップに水(=お金)がこぼれんばかりになみなみと注がれた状態です。このコップが途方もなく大きかった上、政府や官僚がコップから水がこぼれないようコントロールしていたので、これまではなんとか、水がこぼれること(=ハイパーインフレ)を回避できていました。

しかし、もはやその水の量はコントロールできる限界ギリギリまで来ています。このような危機的な財政状況の中で、コロナショックが起きてしまったというのが、今の日本が置かれた状況です。コップが大きい分、その水の破壊力はすさまじいものがあるでしょう。