コロナ危機から自分の資産を守る方法はあるのか。元モルガン銀行日本代表の藤巻健史氏は「日本円は決して安全な資産ではない。世界各国が大規模な財政出動を実施しており、今後、法定通貨は軒並み価値が下落するだろう。避難通貨は米ドルだけではない」という——。

※本稿は、藤巻健史『コロナショック&Xデーを生き抜くお金の守り方』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

1ドル紙幣とブロックチェーンコードのクローズアップ
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「暗号資産」は第二の避難通貨になり得る

長年にわたって放置されてきた日本の財政危機、そして「異次元の量的緩和」による日銀のメタボ化。日本の状況はいわば、「いつこぼれてもおかしくないほど水のあふれたコップ」のようなものでした。そこにコロナショックが起きたことで、ついに水がこぼれる(=ハイパーインフレ)日がやってきたというのが、私の見解です。

もし、ハイパーインフレになったら、手元の円資産の価値は急落します。コツコツ貯めた貯金の価値が10分の1、下手をすると1000分の1にまでなってしまうかもしれないのです。だからこそ、今すぐに円を別の「避難通貨」(有事の際に、自分の資産を守るために買う通貨)に逃がすべきなのです。

避難通貨として第一に考えるべきは、米ドルだと思います。コロナショックで打撃を受けたとはいえ、やはり世界を見渡したとき、アメリカより信用に足る通貨があるようには思えないからです。

ただし、避難通貨を考えるに当たり、もう一つ検討してもらいたいものがあります。それは、「暗号資産」。ビットコインやイーサリアムといった、いわゆる仮想通貨です。なぜかというと、ドルを含めて、中央銀行が発行する全世界の法定通貨は、すべて下落する可能性が高いからです。