法定通貨が軒並み下落する時への備えになる

コロナショックによる経済危機を最小限に抑えるために、今、世界中の国々が給付金などの大規模な財政出動を実施し、そのために、赤字国債を発行しています。各国の中央銀行は日銀と同様に国債を買い取っており、その結果、日本ほどではないとはいえ、今やどの通貨もジャブジャブの状態です。

今後、法定通貨は軒並み価値が下落すると思います。すなわちモノの値段が上がるということ、インフレになるということです。

もっとも、為替とは相対的なもので、どちらが「より弱くなるか」の問題です。物々交換の時代に戻らない限り、どれか一つの通貨は残ります。それは、世界の基軸通貨であるドルだと思うのです。法定通貨に関してはドル一強時代の到来だと考えられます。

それゆえに私はドルを買うことを勧めているのですが、それと同時にクローズアップされてくると思われるのが、「暗号資産(仮想通貨)」です。

特にビットコインのように発行上限が決まっている暗号資産は、価値の希薄化が発行過多で起こることがありません。法定通貨が発行過多で価値を落としていくのを、人々は目の当たりに見ているので、魅力を感じるでしょう。

キプロスの金融危機で避難通貨になったというビットコイン

例えば、ビットコインは、マイニング(採掘)をした人に対して、報酬としてビットコインが新規発行される仕組みですが、おおよそ4年に1回、「半減期」を設けています。

これは報酬として発行されるビットコインが半分になる時期。これによって発行を抑え、価値の希薄化を抑え、通貨の価値を高めています。2020年5月にも半減期がありました。つまり、法定通貨が軒並み価値を希薄化させても、ビットコインは希薄化が起こらないという利点があります。

実際、暗号資産は、すでに避難通貨として活用されたことがあります。2013年に、地中海のタックスヘイブンであるキプロスで金融危機が起こった時、銀行預金に課税する措置が取られたのですが、その時、キプロスの銀行に預金していたキプロス人の資産家やキプロスをタックスヘイブンとしていたロシア人たちはこぞって、預金を暗号資産に替えた、と言われています。

ここ最近、ビットコインやイーサリアムといった暗号資産の価格が軒並み上昇しているのも、法定通貨から避難している人が増えているからかもしれません。実際、ブラジルやアルゼンチン、南アフリカ、レバノンといった新興国では、暗号資産の需要が急増しているそうです。