これは「国民の分断」ではなく「民主主義のレベルアップのための試練」だ

民主国家において政治をよくしようと思えば、当たり前の話だが有権者のレベルが上がらなければならない。政治家は有権者にとっての鏡である。政治家がだらしない、いい加減だと思うなら、それは有権者と同レベルなんだと思わなければならない。

橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)

そして有権者の民主主義のレベルを上げるためには、大阪のようにとにかく各有権者が自分で意見を述べ、他人の意見を聴き、お互いに意見をぶつけ合って自分の政治を見る目をブラッシュアップする以外に方法はない。

マスメディアから流される、解説委員や論説委員、僕を含めたコメンテーターたちの特定個人の意見を「聴くだけ」ではダメなのである。自分の意見を多くの他人にさらして、そこでぶつかり合わなければならない。これはしんどい作業だろうが、それを避けていては民主主義のレベルは上がらない。

今回の検察庁法改正問題については、SNS上で賛否が激しくぶつかり合った。これまでも特定秘密保護法や共謀罪、平和安全法制などのいくつかの政治的テーマにおいて賛否が激しくぶつかり合うことは何度もあったが、1回のぶつかり合いで民主主義のレベルが上がるものではない。何度も何度もぶつかり合いをしなければならない。

このようなことを「国民の分断」と呼ぶか、「民主主義のレベルアップのための試練」と呼ぶか。僕は後者だ。ただもちろん一定のルールがある。いくら激しく意見をぶつけ合うにしても政治批評を生業にしていない一般の人を誹謗中傷してはならない。

今は、マスメディア抜きで有権者どうしが気軽に意見をぶつけ合えるSNSというツールがある。これを使わない手はない。SNSを最大限に有効活用して有権者は、激しく意見をぶつけ合うべきだ。そのことが確実に日本の民主主義のレベルを上げる。日々の暮らしに忙しい人たちは、特定の政治テーマについて詳しく勉強する暇などないのだから、詳しく勉強していないことに何ら臆することはない。

(略)

(ここまでリード文を除き約3100字、メールマガジン全文は約1万5700字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.200(5月19日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【検察庁法改正問題】芸能人・著名人も入り乱れて「反対」の嵐! 大騒動を冷静に読み解く》特集です。

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