緊急事態宣言の「出口戦略」をなかなか打ち出せない政府に対し、大阪府の吉村洋文知事は具体的な数値目標を盛り込み、自粛の解除に向けて動き出した。橋下徹氏は「この差は専門家会議との向き合い方にある」と指摘する。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(5月12日配信)から抜粋記事をお届けします。
通天閣と太陽の塔が黄色点灯
写真=時事通信フォト
大阪府が設けた自粛解除基準の達成状況を色で伝える「新型コロナ警戒信号」の運用に合わせて黄色にライトアップされた通天閣(写真左・大阪市浪速区)と太陽の塔(同右・大阪府吹田市)=2020年5月11日夜

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豊洲移転問題、原発問題でも露呈した「専門家の使い方」の問題点

専門家は自分の専門領域について、最高の水準を追求する。特に安全性の水準設定を専門家に丸投げしてしまうと、専門家は、自分の専門領域以外の事情、特に社会的なコストというものを考慮することなく、自分の専門領域における専門知を駆使して、とことん青天井の安全水準を追求してしまう。

東京都の築地市場の豊洲移転問題では、豊洲の土壌の安全性が青天井に追求された。また、原発についても、現在、青天井の安全性が追求されている。

しかし、安全を追求するには必ず社会的なコストがかかり、これは結局、社会の構成員である国民・市民の負担となる。

ゆえに、民主国家の政治家は、国民・市民の求めるもの、許容できる範囲を意識しながら、安全性と社会的コストのバランスを考慮して総合判断しなければならないし、それが政治家の役割というものだ。

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たとえば豊洲の土壌については、専門家が土壌の地下水を「飲めるほど」にその安全性を追求しようとしたが、そのときに政治家は「東京都全体の土壌地下水の『平均並みの』安全性、ないしはこれまで市場として機能していた『築地の』土壌地下水の安全性と同程度のものを追求すべきだ」と専門家に方向性を示すべきだった。それが、どこまでの安全性を追求すべきかの総合判断というものである。

そしてその方向性の中で、専門家が具体的な安全基準を作っていく。

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