「新型コロナウイルスの感染者数の拡大により、いま、貿易依存度の高い韓国では最大級の危機が訪れています。韓国から外国人の投資が流出し、ウォンが大幅に下落。原因は米中貿易戦争の長期化によるグローバル経済の鈍化、最大輸出相手国である中国の景気鈍化。そして今回のコロナショック。まさに“泣きっ面に蜂”状態です」。日本からもっとも近い隣国の不況は、日本にも飛び火するリスクも高い。2020年、韓国経済の地獄のシナリオを、人気アナリストの馬渕磨理子氏が解説する。
外国人投資家による韓国市場からの資本逃避が懸念
現在、新型コロナウイルスの対策として、世界各国が対策を講じています。韓国政府は、危機に陥っている企業のために約8兆8000億円(100兆ウォン)規模の金融支援を表明したほか、韓国銀行(中央銀行)は基準金利を0.5ポイント引き下げて0.75%に変更することを決定しました。しかし、こうした“救済策”は韓国経済にどれほどの効果をもたらすかは疑問が残ります。それほど今回の韓国経済の不振は深刻なもので、地獄のような大不況に陥る可能性もあります。なぜでしょうか。
一つは、韓国が貿易依存度の高い経済構造であるため。韓国はGDPの40%強を輸出が占めるほど貿易依存度が高い国。グローバルレベルでの往来ができない今、輸出が落ち込むだけではなく、サムスンやヒュンダイなどは売り上げの半分以上が米国と欧州であるため、大きな打撃となっています。
この状況を受け、韓国の株安とウォン安が急速に進行し、一時は対ドルで1290ウォン台と、ウォンは約10年ぶりの安値となりました。これを受けて、韓国銀行は3月19日、米国FRBと約6兆6600億円(600億ドル)規模の通貨スワップ協定を締結しました。これで韓国の準備高は約4600億ドルとなっていますが、それでも外国人投資家による韓国市場からの資本逃避がさらに本格化してもおかしくありません。朝鮮日報は、社説で「米国との通貨スワップが直ちに韓国の金融市場を安定させる効果をもたらした」と報道していますが、事態はさらなる悪化が懸念されます。