スワップのメリットは一方的に韓国にある
しかし、注意してほしい点があります。仮にいま、韓国との通貨スワップを締結したとしても、日本が韓国に外貨を融通することはあっても、逆はまずありえないでしょう。日韓通貨スワップのメリットは一方的に韓国にあるのです。
かつて、日韓で01年から通貨スワップ協定が結ばれていた過去があります。しかし、15年に締結は終了しています。11年の欧州債務危機の再燃でウォンが急落した際には、日本は韓国に外貨を融通し、一気に外貨準備高を700億ドル引き上げた措置を取っています。これにより、韓国は通貨危機を乗り越えた過去があります。
しかし、その後1年もたたないうちに李明博元大統領が竹島に上陸するなど、外交上の混乱を生み出したことは記憶に新しいでしょう。
2国間のスワップは信頼関係のもとに成立するのです。昨今の日韓関係を考えると、スワップが成立するのは難しいと考えます。
それでも、強いていま日本が通貨スワップ協定を結ぶメリットといえば、韓国の破綻によって起こるかもしれない経済危機に日本が巻き込まれないということくらいでしょう。
(構成=鈴木 俊之)