アニメ制作会社を狙った放火殺人「京アニ事件」で、自ら大やけどを負った青葉真司容疑者が手厚い治療の末に回復し、10カ月ぶりに逮捕された。死刑相当の容疑者にも最大限の治療を行い、公正な裁判を受けさせるのは法治国家として当然の措置で、そこには容疑者への好悪の感情は入り込まない。そのことと中国批判のあり方には共通点がある、と橋下徹氏は指摘する。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(6月2日配信)から抜粋記事をお届けします。

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ほぼ死刑になる容疑者を瀕死の状態から治療回復させる理由

報道によると、青葉容疑者は全身やけどによって瀕死の状態だったところを、当該医療機関は蘇生させた。ものすごい医療技術だ。しかもその費用のほとんどは、国民が納付する保険料や税金による医療保険によって賄われる。

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どうせ死刑になるような、このような残虐な容疑者の命を、なぜここまで国をあげて必死になって救うのか?

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正義のスケールの前に法律書籍のスタック
写真=iStock.com/DNY59
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それは適正な刑事裁判手続きを受けさせるためである。

現代国家日本は、どんな罪を犯した者であっても、適正な刑事裁判手続きを踏まえた上でなければ罰を与えないというルールを設定している。

それは、国家権力が国民を恣意的に罰することを防ぐためだ。例外は認めない。

どれだけ残虐な犯罪者であったとしても、どうせ死刑になることがわかっていたとしても、とにかく適正な刑事裁判手続きによって裁くことを絶対条件としている。

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このように「国民に刑罰を与えるには、適正な刑事裁判手続きを踏まなければならない」というルールを日本国として設定した以上、相手がどういう者であれ、そのルールを守っていくというのが「法の支配」、「フェアな思考」というものだ。

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