菅直人と安倍晋三、一体何が違うというのか
新型コロナウイルスの猛威を前に、安倍晋三政権は国民の信頼を失いつつある。首相は「戦後最大の危機に直面している」とはいうものの、その対応は後手に回り、打ち出される対策はあまりに遅く、小さい。「1世帯に布マスク2枚配布」など国民の感情を逆撫でするかのようなメッセージも多く、急速に冷え込む人々の懐と呼応するように政権に向けられる視線は冷たさを増している。未曾有の危機を迎えた今、求められる内閣の「最強布陣」を探った。
「非常時においては、役人には100の力を120、130にして出し切ってもらわないと困る。そのためには裁量権をもたせて思い切り働けるようにしないといけない」「求められているのはそうしたスピード感で、地方任せにせず、国が前面に出ていって判断していくことが必要です」。これは今の安倍政権への言葉ではない。2011年に起きた東日本大震災の民主党政権の対応について、安倍首相が「週刊ポスト」の対談で語っていたものだ(2012年3月30日号)。「菅直人さんという人物のパーソナリティが、常識を超えていたということも大きいでしょう」とも批判していた安倍首相。2月末まで記者会見すら開かず、唐突な全国一斉の休校要請、ミュージシャン・星野源氏の曲とともに優雅にくつろぐ様子を投稿したコラボ動画……。今回のコロナ危機下の対応を振り返ると、違った意味で「常識を超えている」と映る向きは少なくないだろう。