「あー⁉ すんませんじゃねえだろ! サンダルなんかで来やがって」

コロナ蔓延による緊急事態宣言の発令を受け、日本でもウーバーイーツや出前館などのフードデリバリーの需要が高まっている。スマホを使ったサービスが盛んな中国では、日本より一足先にフードデリバリーが普及しているが、ドライバー同士の競争は激しく、悲惨な話も聞こえてくる。

中国の配達バイクが並ぶ…
筆者撮影
中国の配達バイクが並ぶ…

少々前の話だが、2016年夏には、到着時間が遅れた男性配達員に対し、男性客が玄関先にて大声で不満をぶつける動画がニュースで流れた。監視カメラに偶然映っていたようだ。動画を見ると、薄暗い廊下で次のような会話が記録されていた。

「てめえ、病気か! 頭おかしいんじゃねえの? 遅すぎんだろ、1時間半も遅れやがって。どういうつもりだ?」
「今日は雨で大変だったんです。道も混んでいて……」
「俺には関係ねえだろ、何時に注文したと思ってんだよ!」
「どうもすみません。すみません」
「あー⁉ すんませんじゃねえだろ! サンダルなんかで来やがって」
「水たまりが多くて、サンダルでないと動きにくかったんです」
「だったらケツまくって来いよ、雨だったから家から泳いで来たんか?」
「今日はすごい遠回りして来たんです」

中国のデリバリー産業の取引量は9兆円を超す

「だから何だよ、おまえ損害賠償しろよな! さもないとクレームつけてやるぞ! それ、俺のもんだよな? 見せてみろ」(配達員が持ってきた段ボール箱のようなものを指差す)

配達員が箱を手渡すと、男性は受け取ってドアを閉めようとした。だが次の瞬間、男性はドアを開けて箱を地面へと叩きつけ、配達員の顔を指差しながら「ノックすんじゃねえぞ!」と捨て台詞を吐き、バン! と勢いよくドアを閉めた。配達員は箱を拾い上げ、トボトボと去って行った。