悲鳴を上げる保健所

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、感染経路の調査を担う各地の保健所が大きな悲鳴を上げている。

感染経路の調査や電話相談、濃厚接触者の健康管理など、「クラスター対策」を担い、医療従事者と同様に新型コロナの最前線で働いているが、世間の見方は真逆――。

医療従事者に対しては「感謝しかない」と称賛の声が上がり、地域住民がベランダなどに出て医療従事者に拍手を送るといったムーブメントが国内でも起こり始めている一方、保健所は「電話が全くつながらない」「保健所調査が甘すぎる」と、ワイドショーが拾ってくる「街の声」ではひどい言われようだ。

実業家と座っているジャーナリスト
写真=iStock.com/Tashi-Delek
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各地の保健所職員が膨大な業務のうえに、心ない言葉が加わり、職員の疲弊につながってしまっている。全国472カ所(2019年度)ある保健所は、都道府県や政令市、中核市が主体となって、医師や保健師らを配置。新型コロナでは、聞き取りなどを通じた濃厚接触者を探したり、体調を確認したり「積極的疫学調査」、体調不良者から電話を受け専門外来につなぐか判断する「帰国者・接触者相談センター」、自宅などで療養する軽症者らの健康状態を把握する「軽症者らのフォローアップ」などを行っている。