政治家の票取りが目的で設けられた制度

年金3号(第3号被保険者)制度とは、

・会社員もしくは公務員として厚生年金に加入している人の配偶者であること(男女どちらでも構いません)
・年間収入130万円未満
・20歳以上60歳未満であること

であれば、国民年金の保険料を納めずとも、老齢基礎年金を受け取る資格を得られる仕組みで、今から40年ほど前、1985年に導入されました。

当時は「夫が働き、妻が専業主婦として家庭を支える」という世帯が一般的だったため、専業主婦にも年金の受給資格を与えるために設けられました。

国民年金第3号被保険者資格該当通知書
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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年金制度は昔から政治的に利用されてきましたが、年金3号も政治家の票取りが目的で設けられた制度です。当時は年金3号の該当者は今よりずっと多くいましたし、この時代、家事、子育て、介護などはすべて妻の仕事とされていましたから、「家事に追われ外で働けない妻に年金保険料まで負担させるのはどうか」という配慮もあったのでしょう。

この制度に対しては当初から「どうしてサラリーマンの妻は保険料を払わなくても年金がもらえるのに、自営業者の妻はダメなのか。不公平ではないか」という批判がありました。

これは国民年金と厚生年金の制度の違いから来るものです。

国民年金は夫も妻も個々に保険料を払う仕組みですが、会社員の配偶者の保険料は、厚生年金全体で負担しています。その分、夫が払う厚生年金の保険料は高くなっているので、夫が妻の分まで代わりに払っていると考えることができます。その意味では、必ずしも不公平とは言えません。

しかし若い世代では夫婦共働きで、夫も妻もそれぞれ年金に加入している人が増え、年金3号に該当する人はピーク時の1220万人(95年)と比べて約700万人(2023年)と約4割減少しています。その分、政治的な価値も落ち、政治家も年金3号に該当しない人たちからの「不公平」という批判の声に押される方向になっています。

日本商工会議所などの経済団体や連合などの労働団体も、年金3号制度の廃止を提案しています。その主な理由は「この制度が『年収の壁』を生み出し、パート労働者の就労調整を促す要因となっている」ということです。