春節で一時帰国したら、中国に戻れなくなった

武漢では約2カ月半に渡る封鎖が解除されたが、日本ではまだ中国の感染状況の終息を疑問視する声が絶えない。そんな中、あえて中国に入国し、14日間の隔離生活を送った男性がいる。日本生まれ、日本育ちの華僑3世、金鋭氏だ。日中両国をよく知る金氏の目を通して、日本には伝わってこない中国の隔離対策の実態と、日中の温度差が見えてくる。

「皆さん、こんばんは!」

上海蒲東空港での衛生検疫
写真=金鋭氏
上海浦東空港での衛生検疫

3月29日夜、金鋭氏がフェイスブック上に隔離生活を紹介する動画を投稿した。数分間の短い動画だが、隔離されている上海のホテルの室内や彼の表情もはっきり見える。この日から隔離最終日の4月11日まで、金氏は連日動画を撮り続け、室内の環境や隔離中に考えたことなどを話した。金氏はフェイスブックの設定を「公開」にしているため、友人だけでなく「中国の本当の隔離状況を知りたい」という国内外の人々から、大きな反響があったという。

金氏は神戸で生まれ育ったが、1996年から上海を拠点に人材ビジネスに従事。現在はフリーランスで現地の日系企業、中国企業などにコンサルティングを行い、カメラマンとしても活躍している。そんな金氏は1月20日、春節休みを日本で過ごそうと家族とともに帰国した。だが、武漢を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大し、中国に戻りたくても戻れなくなってしまった。