中国で「無人ボックス」を活用した新ビジネスが広がっている。ノンフィクションライターの西谷格氏は「休憩やカラオケ、フィットネスなどを時間単位で空間を借りられる。駅や商業施設にあり、エンタメに特化したボックスが人気だ」――。
※本稿は 西谷格『ルポ デジタルチャイナ体験記』(PHPビジネス新書)を再編集しています。
中国で次々と誕生する「無人●●」
スマートフォンとキャッシュレス決済が普及すると、自分だけの“スペース”を時間単位で簡単に借りることが可能になる。言い換えると、「無人ボックス」のようなものが身近に利用できるようになるのだ。
ボックスのドアをスマホで開閉し、何らかのサービスを享受したうえで、料金をキャッシュレスで支払う。すべて無人なので、人件費は一切かからない。
こうした無人ボックスから派生したビジネスが、中国では次々と誕生している。とくにエンターテイメントに特化したものが人気のようだ。駅やショッピングセンターのデッドスペースを有効活用できるので、自動販売機の延長と考えてもいいだろう。
自動販売機でさまざまなものを売れるのと同様、無人ボックスは多様なサービスを提供している。本章では、その象徴的なサービスをいくつか紹介していく。
15分300円、大型商業施設の「休憩ボックス」
アリババが運営する杭州のショッピングモール「親橙里」の一角で、3メートル四方ほどの小屋のようなボックスを発見した。「共享空間」と書いてあり、これがサービス名のようだ。
ヨガをする女性の写真が大きく貼られていたのでフィットネスマシンか何かと思ったが、そうではなく、休憩用の個室空間だった。ヨガ教室の広告ポスターが前面に出すぎていて、少々わかりにくい。ともあれ、使ってみよう。