会計――まず入り口でつまずかないための3冊
■起業体験に基づいた本質
『稲盛和夫の実学』
稲盛和夫/日経ビジネス人文庫
京セラやKDDIを優良企業に育て上げ、日本航空を再建した稲盛氏の「経営と会計」についての哲学が自身の言葉で語られている。まず稲盛氏がゼロから会社を立ち上げていくなかで体得した管理会計の本質が、「儲け」「値決め」といった現場感覚の表現で説明される。そして、それは「キャッシュベース経営の原則」「1対1対応の原則」「筋肉体質経営の原則」といった有名な「京セラ会計原則」へ昇華していく。長引く不況からの脱却が叫ばれる今だからこそ、体験に裏付けされた実学としての会計が求められる。
■会計を物語形式で理解
『世界一感動する会計の本です』
山田真哉/日本実業出版社
会計の基本は「仕訳」という視点から、簿記の技術を初心者向けにやさしく解説。バランスシートの「借方」は自分、そして「貸方」は他人と言い換えることで、勘定科目を直感的に理解し、スムーズに帳簿の記入ができる。また、複式簿記の歴史と経理の基本が童話風に語られていく。読み終わったとき、読者はきっと決算書が読めるようになっていることだろう。
■知識ゼロから財務諸表を作る
『世界一わかりやすい財務諸表の授業』
並木秀明/サンマーク出版
簿記の知識がなくても、財務諸表が作れるというのが、この本のよさ。大学や専門学校、企業研修で教壇に立つ著者が、新入社員に「貸借対照表」と「損益計算書」の作成の基礎を教えこんでいく過程がドキュメンタリー風に書かれている。自分が会社を経営するつもりで、仮想の財務諸表を作成することで会計用語やスキルを理解することができる。