プレジデントの新動画シリーズ「リーダーの器」第2回はサラダコスモの中田智洋社長です。無料会員登録で46分間の動画をご覧いただけます。ぜひご登録ください――。

原料高騰でも「もやしの値上げ」をしない

家計の味方といえば何を差し置いても、もやし。そのもやしの製造・販売で日本トップ級のシェアを誇る企業が岐阜県にあります。今年75歳の中田智洋社長が率いるサラダコスモです。父親の代に家族総出で事業を始めて80年、大きな危機を乗り越えながら、もやしをつくり続けてきました。

物価高のいま、中田さんの決断が注目を集めています。多くの企業が値上げに踏み切るなか、もやしの価格を10年以上も据え置いているのです。

一見、無謀な経営に見えるかもしれません。

しかし中田さんは「今の世の中、品質が良いものを安く売るのが理想ですから。社会の役に立つための努力を続ける」と言い切ります。

きっかけは十数年前、取引先社長からの「もやしなんていくらでも安くできるだろ!」という厳しい言葉でした。原料も石油も電気も高くなった、だからすぐ値上げだという思考パターンを改めて、物流や人員配置を根本から見直し「値上げなしで利益が出る体質」をつくり上げたのです。

中田さんは言います。
「今もこの日本で、すぐにでも値上げをしたい企業や経営者、おると思うけど、もう一度、自分を見つめてみてほしい。本当にこれでいいのだろうかと」

胸を張ってできる仕事とは何か

今は年商263億円の企業に成長したサラダコスモですが、中田さんの歩みは平坦なものではありませんでした。父親が脳梗塞で倒れたことで突然家業を継ぐことになったのが28歳のとき。当時はめずらしかった無漂白もやしに挑戦し、急成長を遂げました。無漂白にこだわったのは、「安全で胸を張れる仕事をしたい」という思いからでした。大学で仏教を学んだ中田さんは「仏教は生きる極意を教えてくれるわけですけど、生きる極意というのは、とにかく胸を張って人のためになることをすることなんだと。そういう意味で、もやしの無漂白は胸を張れる仕事だったのです」といいます。

年商2000万円の家族経営から十数年で11億円企業に成長。しかしその裏で、資金繰りに窮し「不渡り」の恐怖に震えた夜もあったそうです。