実は、会計を学ぶうえでの原点はいつの時代も変わらない――「カネはどこにあるのか」だ。こうしたカネの動き、「キャッシュフロー」が会計学でも重視されるようになっているのは原点回帰の動きといっていい。

今回挙げた『稲盛和夫の実学』では、こうしたキャッシュベースの考え方が具体的かつシンプルな手法とともに提唱される。例えば、1つ1つのモノの動きと伝票処理を明確に対応させる「1対1対応の原則」や“売り上げを最大に、経費を最小に”に根ざす「筋肉質経営の原則」など。原始的な考え方のようだが、こうした積み重ねが、会社の数字をリアルに見極めるのにつながるのだ。