飲み会はチームワークを高めるのに一役買ってくれます。「ちょっと一杯飲みにいかない?」と声をかけるとき、「みんなと飲みたい日本酒があるんだ」と一言添えれば、チームメイトも気構えずに乗ってくれるはず。チームメイトの士気を高め、互いを理解し合うのに合う2本をご紹介します。
チームの心をつなぐ鍵は日本酒にある
和醸良酒――
あなたは、この言葉を聞いたことがありますか?
これは、日本酒の業界で大切にされている「和の心は良酒を醸し、良酒は和の心を醸す」という精神を略した四文字熟語です。酒蔵の人たちがよく口にするキーワードでもあり、心を一つにして力を合わせ、酒造りに向かう大切さを説いた先人の教えにもかなうもの。和の精神をもって造ればおいしいお酒ができるだけでなく、そのお酒を飲む人同士も和やかな輪でつながれる。日本酒とは、そういう心のつながりを大事にするお酒ですよ、という意味もこめられています。仲間と一緒に日本酒を飲むということは、心を一つにしていいものをつくるのに最適な行為ではないでしょうか。
なぜ、優れたチームほど飲み会を行うのか
連携力の取れた優れたチームは、親睦を深めるために飲み会を定期的に行っています。よく、若手社員が「飲み会は面倒」と感じているという話を耳にしますが、それは飲み会を「強制参加」と上司が決めて、部下に押し付けているからではないでしょうか。上司にお世辞を言わなければいけなかったり、突然説教をされたりするかもしれないような、苦痛で収穫のない飲み会は、敬遠されて当然だと思います。
一方で、チームワークの優れた集まりでの飲み会というのは、お互いに気兼ねすることなく、お酒を片手に前向きなビジネスの話を自然とするようになります。たとえば、プレゼンテーションに向けて、どうすれば資料がもっとよくなるのか。もっと生産性を上げるためにはどうしたらいいのか。お酒の力を借りて、普段言いづらいことや考えていることを、立場をフラットにして語り合うことができ、充実した時間になることでしょう。このような場面において、日本酒を互いに注ぎ合いながら“和醸良酒”にあやかり、チーム力を高めるのはどうでしょうか。
すいすい飲めて、チームの英気を養うことができる日本酒
日本酒を普段飲まないような人でも、一緒に飲みやすいお酒の一例が「真澄 YAWARAKA TYPE-1」。「泥酔するのではなく、ほろ酔い気分を楽しめる軽快な日本酒」をイメージし、通常日本酒のアルコール度数は15%のところ、「真澄 YAWARAKA TYPE-1」は12%とライトな飲み口に仕立てています。ほんのり香るハーバル系のノートも魅力的。すいすいといくらでも杯を重ねられる軽やかさで語らいが進み、上司やチームメンバーとのひと時も、あっという間に感じるかもしれません。
蔵元の宮坂醸造は、長野県諏訪市で創業360年の歴史をもつ老舗。古典的な清酒酵母、「きょうかい7号」の発祥蔵としても有名です。
そもそも、酵母とは日本酒造りに欠かせない素材(微生物)の一つ。糖を食べてアルコール発酵を促すだけでなく、日本酒の香り、味わいの個性を決定づける役割も担います。明治時代から多彩な清酒酵母が開発されてきたなかで、「きょうかい7号」は、6号、9号と並ぶ“昭和ひとケタ酵母”と呼ばれるスタンダードモデルの一つ。戦後間もない頃に日本酒「真澄」の酒蔵タンクから発見され、高度成長期と足並みを揃える形で全国に普及。酒蔵の中には「七号酵母誕生の地」の文字を刻んだ記念碑が掲げられています。
香りの特徴はバナナやプリンスメロン、洋梨の甘やかさを感じる果実香。成分的には“酢酸イソアミル”系と呼ばれる吟醸香です。発見当時はまだ地味な香りの日本酒が大半だったため、香りの強い吟醸酵母と見なされていたようですが、より華やかな香りを出す酵母が台頭する現在は、むしろ落ち着いた香りと表現するほうがふさわしいでしょう。上品で出しゃばりすぎないフレーバーと米のまろやかな旨味が調和し、親しみやすい味わいに着地。人にたとえれば、大らかで裏表なく誰にでも好かれるタイプが“7号の酒”。造り手、飲み手ともに根強い人気があるのも頷けます。
「真澄 YAWARAKA TYPE-1」は、そんな7号酵母の伝統をたどりつつも、蔵元の後継者である宮坂勝彦さんが、新しい時代のライフスタイルにふさわしい世界観を表現したリブランディングモデル。お客様に新しい提案をしたり、既存の事業の立て直しを検討しているなど、変革を起こしたいときに飲むと、ゲン担ぎにもなってくれそうです。
このお酒はただ軽いだけではなく、後からじわじわと、お酒のタイトルどおり“やわらかに”やってくる旨味の芯が特徴的です。低アルコールの物足りなさをまったく感じさせず、カジュアルなダイニングバーや居酒屋のメニューによくある野菜サラダやシーフード、チキンなどの洋風メニューとの相性も上々。大いに食べ、飲み、語り合いながら、チームの英気を養うのにぴったりの1本です。
新メンバーを温かく迎えるのに最適な日本酒
もう1本。今度は、新しいチームメンバーを迎えたときにお勧めしたい日本酒をご紹介しましょう。
新潟県は加茂錦酒造の「荷札酒 黄水仙」は、アルコール13度の純米大吟醸。その名前のとおり、荷札を模した印象的なラベルデザインが目を引きます。
「黄水仙」は、低アルコールといっても搾った酒に加水して薄めているのではなく、もろみ(醸造してまた粕をこしていない状態)の段階で追い水を加え13度の原酒を造って搾る、巷では“低アル原酒”と呼ばれるタイプ。日本酒に特有の並行複発酵を利用して味わいのバランスを調える方法で、仕上がりのイメージに合わせて麹造りや仕込み配合を変えるなど、高い技術と経験値が必要です。
このハードルをクリアして生まれた「黄水仙」は、果実味がありながらもしっかり米の旨味が感じられるバランス感、キレの良さで、「真澄 YAWARAKA」とも共通する味わいです。その酒質を一言で表現すればフレッシュ&クリーン。みずみずしい透明感があり、全体に香りは控えめで、溌溂として気合十分な新メンバーを温かく歓迎するのにふさわしい印象があります。
酒蔵は明治26年の創業。清酒「加茂錦」の銘柄で地元新潟を中心に親しまれてきましたが、大学在学中に家業の酒造りに加わった次期蔵元、田中悠一さんが手掛けた「荷札酒」がデビュー初年度の2014年からクリーンヒットを記録。地酒王国・新潟に登場した期待の大型新人として話題をさらいました。
9造り目になる現在は、すでに看板商品としてすっかり定着。時期やロットごとに原料米の種類や製造方法を変えて仕込み、その違いを荷札ラベルに表示して出荷していますが、いずれもリリースと同時に完売してしまうほどの人気を獲得しています。
田中家は代々続く蔵元ではなく、親族の酒造会社の経営を引き継ぐ形で2000年代に酒造業に参入。田中さんは現社長の父親に付き合って利き酒を重ねるなかで、「獺祭」や「十四代」の味わいと出会い、本格的に日本酒に開眼。大学を休学し、手探りで酒造りの道に飛び込んだユニークな経歴の持ち主です。
新潟大学では情報工学を専攻。その理系の知識を生かし、酒造りに必要な設備面では自作の装置を開発し、実用化。冬季の“寒造り”に限らず、年間を通じた四季醸造を可能にする冷凍麹の導入、センサーで麹の品温を計測し、スマートフォンで温度管理や調整を行うモニタリングシステムの採用など、安定生産や省力化に向けた取り組みでも堂々のリーダーシップを発揮してきました。
微炭酸でチリチリした発泡感があるため、乾杯の一杯としても気持ちの良い軽やかさ。和醸良酒の精神に基づき、チーム揃って士気を高めるのはいかがでしょう。



