心身の疲労を上手にとる休み方は何か。医師の保坂隆さんは「心身の健康を保つためには、疲労がたまる前に、意識的に『休む時間』を日常生活の一部として確保することが必要だ。たとえば、ランチの時間を『息抜きタイム』として活用したり、小さな工夫から始めてみるといい」という――。

※本稿は、保坂隆『精神科医が教える 心と体をゆっくり休ませる方法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

京都の和風カレーライスとサラダ
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「いつでも・どこでも仕事」で、ストレスが増えてしまう

現代人の「疲労」を語るうえで、「ストレス」というキーワードを無視することはできません。

職場では上司や同僚との対人関係に気を使いながら、仕事を効率よくこなすこと求められ、家庭でも夫や妻などのそれぞれの役割を果たすことが求められる――常に何かに追われている感覚を、あなたも抱えていませんか。

真面目な人が多い日本人は、それらすべての役割を「完璧にこなそう」とする傾向にあります。この「完璧主義」の姿勢が、知らず知らずのうちにストレスを生み出し、心身に負担をかけているのです。

また、テクノロジーの進化も、もともと高ストレス社会だった環境に追い打ちをかけています。スマートフォンやチャットツールなどにより、いつどこでも手軽にやり取りができる環境になったため、「プライベートに仕事が食い込んでくる」という状況をつくり出してしまったわけです。

夜遅くや休日に仕事の相談や指示が届き、ところかまわず返信を迫られる状況は、あなたからリラックスする時間を奪います。その結果、ストレスが蓄積し、心の疲労が抜けにくい状態が続いてしまうのです。

このように、現代生活で生じるストレスは、多くの場合、無意識のうちに蓄積され、精神的な疲労となるのです。ここに肉体的な疲労も加わり、私たちは身も心も疲れているといっていいでしょう。

休日にも仕事のメールに追われていませんか?