アルベルト・ザッケローニ(サッカー日本代表監督)

アルベルト・ザッケローニ (Alberto Zaccheroni) 
1953年、イタリアのエミリア=ロマーニャ州フォルリ=チェゼーナ県メルドラ市生まれ。アドリア海に面したリゾート地チェゼナティコでホテルやレストランを経営する父の下に育つ。1995-96シーズン、ウディネーゼで初のセリエA監督。98-99シーズンは監督就任初年度にACミランを優勝させた。

温厚そうで紳士然としている。冗談も口にする。でも目の奥は笑っていない。こわい時がある。

勝負師なのだ。30歳でイタリアのチェゼナティコというクラブの監督に就任。以降、ウディネーゼ、ACミラン、インテル・ミラノ、ユベントスなどのクラブで指揮をとる。

2010年8月、日本代表の監督となった。それから2年10カ月。6月4日のワールドカップ(W杯)ブラジル大会のアジア最終予選でオーストラリアと引き分け、5大会連続5回目の本大会出場を決めた。

厳しい試合だった。超満員6万2千の観客の前で息詰まる攻防が続く。終了直前に1点を失い、ロスタイムで幸運なハンドをもらい、本田圭佑が同点PKを蹴り込んだ。

ザッケローニ監督は苦笑いをつくった。

「はっきり言って、(この試合で)10歳はトシをとったかなと思う。それでも非常にうれしい。今日は試合の内容もよかった」

試合後、ピッチでは選手の手で宙に舞った。スタッフと並んでピッチを一周した。大歓声、あたたかい拍手が送られた。

「日本代表の監督をやったあと、どこの国にいこうか、そういうことも考える。ただ日本の長所や素晴らしいことを知って、他のところに目を向けるのは難しい。ピッチを一周している時、実はテクニカルスタッフとそういう話をしたんだ。これだけのサポーターに囲まれている風景を考えると、ちょっと次に別の国にいくのは難しいなと……」