クライアントと交渉する、関係者の意見を取りまとめるーー。そんな場面で求められるのが議論のスキルです。食い違った主張をうまく着地させたり、認識のズレを解きほぐしたりするために有効なアクションとはなんなのでしょうか。
それをお伺いしたのが、お笑い芸人として、また現役の弁護士として活躍中のこたけ正義感さん。先日開催し大きな話題を呼んだライブ『弁論』でも、夫婦喧嘩のエピソードを用いながら「争点の整理」「事実と感情の区分け」といった議論のテクニックを披露されています。
今回の取材序盤でこたけさんが尋ねたのは、「この場における“議論”という言葉の定義」。絡まった糸を1つずつ解きほぐすような、弁護士ならではの丁寧な議論の進め方を学べるインタビューとなりました。
議論のスタートは、“議論の定義”を決めるところから
――個人的なイメージですが、法廷でのやり取りや示談交渉などのシーンを想像するに、弁護士の主なお仕事は「議論」と言えるのではないか、と思います。数々の議論をまとめてきたこたけさんに「いい議論とは何か」をお聞きしたいです。
こたけ正義感さん(以下、こたけ):(少し考えて)そうですね……たぶん、議論という言葉の意味合いがシチュエーションによって大きく異なると思うんです。紛争を解決しようとしているのか、新しいアイデアを練るために会話しているのか。この場では、まだその定義が曖昧になっているような……。
――おっしゃる通りですね。では、ここから議論を進めていくためにも、まずは今回取り扱おうとしている議論とは何か、というところから整理させてください。
大前提として「ビジネスシーンにおける議論」を取り扱いたいのですが、これは一般的な議論のイメージに近い「勝ち負けを争うもの」ではなく、「双方で着地点を探っていく作業」に近いと思うんです。さまざまな議論のパターンに精通する弁護士の観点から、そういった場で必要なことをお聞きしたいなと。

