こたけ:たしかに勝ち負けを目的とする議論と、両者で共通の解にたどり着くための議論って全然違います。相手を論破することを目的とした議論もあるけれど、実際ほとんどの議論はそうじゃない。ビジネスシーンにおける議論も、ビジネス上の成功に着地すればいいわけなので、基本的に相手を打ち負かす必要はないですもんね。そして、その2つをごっちゃにしている人は多い気がします。

弁護士の場合は基本的に勝ち負けを争って議論することが多いんですが、これも局面によるんです。例えば、双方の主張が折り合わず紛争になったとしても、最初はだいたい弁護士同士の交渉から始まるんですよ。裁判しなくてもいいよう、お互いにとっていい落としどころがないかを探る。お金を払って済むのであれば、お互いに納得できる金額を探るし、感情面の問題があるのであれば、お互いの気持ちの部分を伝え合ってもらうし、調停などで話し合いの場を設けることもある。それでもまとまらず、裁判に発展したときに初めて、相手を打ち負かすための議論に変わっちゃうわけです。

――なるほど、裁判の前段階として「交渉」の機会があると。そこでいい落としどころを見つけるために、弁護士はどんなことを意識しているのでしょうか?