一度断られたらすぐにあきらめてしまう部下。彼らの自信を取り戻し、ふたたびやる気に火をつけるため、上司がかけるべき言葉とは。
新規獲得には6~8倍の労力がかかる
刈り取り型営業の限界に気づき、種まき型営業への転換を図ろうとしている意欲的な営業マネジャーは少なくない。しかし、マネジャーが抱く危機感とはうらはらに、現場では相変わらず目先の案件を追いかける営業が横行して、継続アプローチが徹底されていない組織が目立つ。
すぐにあきらめてしまう部下たちを、「最近の若い社員は粘りが足りない」と切り捨てるのは簡単だ。ただ、いくら精神論を振りかざしても現場は変わらない。
では、種まき型営業を組織に浸透させるために何をやればいいのか。意識してもらいたいポイントは3つある。
1つ目のポイントは、マネジメントのフォローだ。種まき型営業の重要性に気づいて営業改革の花火を打ち上げたものの、その後のフォローがなく、現場が混乱しているケースが後を絶たない。
欧米では、マネジャーが羊飼いにたとえられることが多い。羊は目の前に柵が現れると、引き返したり回り道したりせず、ひたすら柵の前に佇む習性があるそうだ。自分では何も判断できなくなった羊たちを導くために羊飼いが存在するのだが、営業マネジャーも同じ役割を担っていることを自覚すべきだろう。「種まきしよう」「継続的にアプローチせよ」と言いっ放しにしてはいけない。行くべき顧客のもとを継続的に訪問しているか。もし問題があって訪問していないとしたら、その問題をどうやって解決するか。そこまで導いてこそ、部下は柵の向こう側へと進んでくれるのである。
忙しくてそこまでフォローできないという声もあるだろう。とくに近年は自分でも顧客を担当するプレーイングマネジャーが増えている。自分のことで精一杯で、部下の行動まで細かく把握できないというわけだ。しかし、そうした言い訳が許されるなら、マネジャーの存在理由がなくなってしまう。