上位1割の営業マンは、下位1割に比べて4.1倍粘っている。これが2000人調査で明らかになった事実だ。しかも、粘れるかどうかが営業マンの成績格差にもつながっているという。
営業マンの成績格差は17倍!
あきらめないことが大事だというと、なかには「判子を押してもらえるまで帰りません」と強引に粘る営業スタイルをイメージする人もいるだろう。しかし、成熟市場で求められるのは、単発の案件に対する粘り強さではない。種まき型営業に必要なのは、あくまでも顧客との関係性を築くための粘り強さである。つまり案件があろうとなかろうと、継続的にアプローチすることが大切なのだ。
では、継続アプローチで顧客と関係を築くことで、営業担当者は何を得られるのか。案件ベースの単発的アプローチをする場合と比べてメリットは4つある。
1つ目は、1回1回のアプローチが蓄積されて財産になるということだ。案件ベースのアプローチでは、案件が不発に終わったり案件が終了した時点で、顧客との関係がいったん白紙になってしまう。
一方、顧客関係性をゴールに継続アプローチすれば、案件が取れても取れなくても関係性が積み上がっていく。関係性の蓄積は大きな武器だ。あたりまえの話だが、初めてアプローチしてきた営業担当者より、過去に何度かやりとりをして自社の課題を知っている営業担当者のほうが話は早い。アプローチを積み重ねるほど、このアドバンテージが大きく働く。
2つ目のメリットとして、リピートや紹介のチャンスが増えることも見逃せない。案件数が少ない成熟市場では、新規案件に多くの営業担当者が殺到する。数多くの候補の中から取引先を選ぶのは、顧客にとっても大きな負担になる。そのため新規取引先をシャットアウトして、付き合いのある営業担当者とだけ話をする顧客も少なくない。つまり顧客との関係性が強固になるほど、次の案件を紹介されたり、他の部門を紹介してもらえる確率が高くなるわけだ。