売れない営業マンを抱えて頭を抱えるマネジャーに問いたい。その部下が日ごろどんな営業活動をしているのか、あなたは知っていますか、見ていますか。部下のどこを見て、どう育てればよいのか、営業のプロがポイントを解説する。
営業成績の格差3年前は8倍、今や14倍
「売れる」営業マンと「売れない」営業マンの二極化が進んでいる。弊社が300社を対象に調査をしたところ、3年前は、営業成績の格差は額面にして平均8倍であったが、昨年の調査では約14倍まで広がっている。今や一生懸命やれば売れる時代ではない。営業マンには商品知識だけでなく顧客の問題を把握し提案するコンサルティングのスキルが求められる。ここに営業マンの力の差が生まれているのだ。
そのためかもしれない。最近、コンサルティングをしていると「売れない営業マンを辞めさせるべきか?」という質問をよく受けるようになった。
結論から言うと答えはNOである。辞めさせても何の解決にもならない。一人辞めさせると周りも「俺も売れなくなったら辞めさせられる」と考えるようになり、組織全体のモチベーションが下がってしまう。
「まったく売れない営業マン」「たまに売るが低空飛行の営業マン」「売れなくなってきた営業マン」……。企業にとっては売れない営業マンがいない状態が望ましい。だが現実には大勢いる。今回はこういう人たちに対してどういう対処をとるべきなのか科学的に分析して述べていきたい。
だがその前に人事権のある経営者や人事担当者には、採用の段階で「売れない」営業マンを見極めるべきだと言っておきたい。営業職は過去の経歴とスキル、そして意欲で採用の有無を決めることが多く、実際に売れるかは採ってみなければわからないのが現実だ。
しかし中途採用に限って言えば、入社後「売れる」営業マンになる可能性がある人物とそうではない人物を見極める方法がある。それは「過去をリセット」できているかどうかだ。