しかし、やる気がないと言われている世代は新卒~30代前半までの比較的若年層であり、彼らのモチベーションは「評価」にあると考えていい。顧客と上司、双方の評価だ。追い込んで叱咤激励すれば売れると勘違いしているマネジャーも多いが、褒めて伸ばすことを忘れてはならない。
次はスキルである。この部分については「現場で覚えろ」の企業が多い。その理由は売れるためのスキルが何かということを会社も上司自身も整理できていないからだ。
とりあえず営業に行かせ、一応案件らしいものが出てきたら、そこで初めて上司が同行し提案や契約の仕方などを教える会社がほとんどだ。だが一番大変なのは案件を取るまでの過程だ。会社としても身につけてほしいのはそのスキルのはずである。しかしその重要な部分ほどほったらかしであり、教えていない。
上司は営業活動の量と質をきちんと見ているか
スキルの中でも、営業にはまず知識が必要だ。現在のような成熟市場の中では、サービスを導入したりモノを買うとき、これまでになかったものを買うのではなく、例えば「コピー機Aをコピー機Bに替える」など商品の切り替えが主流となっている。これまで使っていたものをやめてまで買いたいと思わせるだけの商品知識、業界知識、そして顧客知識に基づいた商談ができなければならない。
弊社にも多くの営業マンが来るが、「うちの会社、何をやっている会社か知っていますか?」と尋ねると20人中1人しか答えられなかった。法人営業なのに何も調べずに闇雲に飛び込み営業をかけているのである。
自分の売る商品と営業先のことをしっかり勉強して初めて商談は成立する。顧客の情報など調べればわかることだ。営業に行って「御社は何をつくっているのですか?」という営業マンと「先日の新聞記事を見ました。新しい投資の予定があるのですか?」と聞く営業マンでは会話の広がりが全く違う。
あとはヒアリング力と提案力である。売れない営業マンは商品のニーズや需要を一方的に聞くだけで、顧客を知る努力をしない。例えば商品がコピー機なら「コピー機は何台ありますか? 故障が多い替え時の機械はありますか?」という質問はする。だが顧客がどんな仕事をしており、コピーの使用頻度がどれくらいで、コピー機に何を求めているのかということは聞かない。このため「今、コピー機は必要ない」と言われるとおしまいなのだ。