案件ベースの単発的アプローチでは、これら4つのメリットを得ることは難しい。粘り強くアプローチを続けることがいかに重要なことか、これでおわかりいただけたのではないだろうか。

継続アプローチの必要性を、企業レベルの視点からも考えてみたい。

市場の縮小が避けられない状況において、企業が生き残る道は3つある。1つは、成長市場を求めて海外に進出することだ。幸い、私たちのすぐ隣には中国という巨大な成長市場がある。かつての日本と同じく、そこではいま続々と案件が生まれているはずだ。

2つ目は革新的な商品開発による新市場の創出だ。既存の市場はシュリンクしていても、イノベーティブな商品やサービスを打ち出すことで新しい市場をつくりだすことはできる。たとえば「iPhone」や「iPad」で、従来のモバイル市場とは一線を画す新市場をつくりだしたアップルは、その好例といえる。

ただ、海外進出や革新的商品開発といった選択肢にリソースを投入できる企業は限られている。そこで現実的な選択肢として浮かび上がってくるのが、既存市場におけるロイヤルカスタマーの拡大という3つ目の道だ。

自社のファンであるロイヤルカスタマーは、市場環境にかかわらず安定的に商品やサービスを購入してくれる。そのため市場の縮小とともに全体の客数が減っても、ロイヤルカスタマーを獲得してその割合を高めていくことで、企業は成長を続けることができる。そのための手段としていま顧客との関係構築を目指す継続アプローチが求められているのだ。

企業はこれから組織として“あきらめない営業”に取り組んでいく必要がある。組織的に継続アプローチに取り組んだとしても、海外進出や革新的商品開発のように多大なリソースを必要とするわけではない。その意味で、継続アプローチはもっともリスクが少ない現実的な選択肢だ。