ブログやツイッター等に上司の悪口を書いてしまった。その場合、投稿した人の素性がバレた時点で“アウト”だと思ったほうがいいでしょう。匿名で書き込みをしたから大丈夫と思っている人もいるようですが、加害者は容易に特定されます。
「プロバイダー責任制限法」(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)と呼ばれるネットに関する決まりがあるからです。被害者から、加害者のメールアドレスについて開示請求があれば、プロバイダーは応じなければいけないことになっています。
最近、会社のパソコンが厳しく監視され、許可なく外部へと発信することが難しくなっています。そのためブログやツイッターへの書き込みは、自宅等から発信したものが多いと考えられます。批判する相手が目の前にいないため、つい安易な書き込みをしがちです。
しかし、電子媒体は便利なツールである一方、非常に厄介な性格も持っています。書き込みをした内容が永遠に漂い続けるからです。従来の新聞、雑誌等の紙媒体は、通常はそんなに長く保存されず、捨てれば終わり。ところが、電子媒体の場合は、いつまでもネット上に残っていて、他の誰かが集めて再編集したり、ツイッターのように話が拡散され、あっという間に噂が広がります。
有史以来初めて個人が負うリスク
評判を貶された場合、名誉毀損、プライバシーの侵害等で訴えるということが可能で、過去に多くの判例があります。新聞や雑誌等が引き起こしたものが多いですが、ネット上の問題でもこれに準じた基準が適用されるとみられます。従来は、マスコミ対個人という構図だけでしたから、損害賠償の金額は公称1万部と100万部の雑誌ではおのずと違っていました。
では、個人対個人の場合ではどうなるか。よく知られているところでは、ツイッターで有名人のプライバシーを公表し、勤務先を解雇された例がありました。そういうものを除けば、ネット上のトラブルで上司や友人、知人等を訴えたようなケースは、まだあまり表沙汰にはなっていないと思います。