悪口にも2種類あって、事業戦略や仕事の進め方についてであれば、上司のやり方に一定の批判の声が出てくるのは理解できますし、対処の方法もあります。
部長クラスより上のケースになりますが、自他ともに認める自分の「後継者」から、まわりまわって手ひどい批判が聞こえてくるとしたらどうでしょう。
どのような組織も目標を定めて進んでいる以上は、その手段や方向性について必ず異論が出てきます。後継者候補が上司を批判するのは、周囲に現在の方針へのアンチテーゼ(反対意見)を示すことで、その後のイニシアチブをとろうと考えるからです。
「自分が後継者になったら、これまでの路線の踏襲ではなく独自路線でいく」ということです。
政治家の世界にもあるし、有名企業でも、社長が後継者を選んで、自分は会長に退いたら、社長がそれまでの方針をひっくり返すというケースはよくあります。そこにはもしかすると、上司に対するコンプレックスも関係しているかもしれません。
こういうときは、本人を呼んで話し合っても、必ずしも理解しあえるとは限りません。かえって反発して収拾がつかなくなることもあるのです。では、上司はどう対処したらいいでしょうか。
一つ、やり方があります。部下が口にしているという反対意見を自ら吟味したうえで、会議など公の場で、あえて議論の対象にしてしまうのです。
「私が進めている現在の方針について、一部で批判も出てきているようだ。しかしながら、私はこういう考えで、今の方針を決めている。これについてどういう問題が考えられるか、どのような改善方法があるか、みんなの忌憚のない意見を聞かせてほしい」
と、オープンな議論の場にしてしまいます。
批判していた当人が、これまで裏で言っていた通りのことを、そうした公の席でも話してくれればいいのですが、そうしてくれないときはほかの人に話を振ります。
するとそれまでその人が言っていた内容が、他人の意見として公の場に出てくることになります。こうなると批判していた人は反対派のオピニオンリーダーとしての立場をなくし、周囲の支持も失ってしまいます。